取材-編集: Taipei Computer Association / Tokyo Office 交流NO.943 2019/10
げんぶん: https://reurl.cc/xZpmLV
13 ■ベッド上の動静を空気圧の変化でとらえるセンサーマット/Sleep Tracker FOREAIDER Z
≫ ForeAider Technology Co.,Ltd/輔人科技股份有限公司
台中市西屯區逢福里櫻城一街 59-7 號1樓
https://foreaider.com
2018 年7月設立、創業メンバーは5人。設立は完全自己資金。中国語の会社名にある「輔人」とは中国古典中の「輔人無苟,扶人無咎」から取ら
れたもので、「他人を助けるのは良い加減であってはならない、他人を助けるのは何も悪いことはない」という意味である。製品を着想するまでに
至った過程には創業者自身の介護経験があった。
文字を並べただけの起業理念ではなく、母親の介護という実体験に裏付けられた「輔人」の精神、ForeAider の崇高な理念が伺える。
ForeAider のセンサーマットは、ベッドマットの下に置くだけで、ごく普通のベッドに簡単にスマート・ベッド機能を持たせることができるソリューションだ。センサーマットには空気が充填されており、管を通じて気圧センサーに接続することでベッド上の振動などの状況を監視する。
実際の利用としては、ベッドに寝ているだけで、心拍数、呼吸数、寝返りなどの状態が観察でき、設定によっては転倒や呼吸停止などの異状を検出
することもできる。また、患者がベッドをパンパンと複数回叩くことで担当者に緊急呼び出しの合図を送ることもできる。
驚かされたのはその性能。他社の同種の技術と比較した場合、厚さ 25cm のマットでも作動する。
またセンサーマットの中にはセンサー類はなく、空気が充填されているだけのため、コスト的にも有利で、故障率も低く、安定性に優れ、メンテナ
ンスコストも安価になるなどのメリットがある。
寝返りを転倒と誤判定しないこと、またさまざまな振動から確実に心拍や呼吸の情報を取り出すこと、これらは AI によって装置内の空気の流れを
分析することで判定している。
スタートアップが製品を開発する際、センサーなどのキーデバイスは既存の物を使うことが多い。センサーそのものを開発するスタートアップは決して多くない。そうした中で ForeAider は地道にセンサーの開発から取り組んでいる。実は台湾でマスコミに取り上げられることが少なく、ForeAider は貴重な存在だ。この製品の開発のきっかけになったのは母親を介護した自身の経験から。ヒアリングでは開発の苦労話も聞かせてもらった。開発に専念できる場所がなかなか見つからず、「マージャンをやる」と言って4人でラブホ
テルに入り、ここで朝まで実験を繰り返したという。開発秘話もなかなかおもしろかった。
交流 2019.10 No.943
写真 25 開発者によるデモ。薄いエアマットのような形状。圧力がかかり空気の流れが生じた部分を AI が解析する
写真 26 厚さ 25cm のマットの下でも大丈夫。微妙な空気の流れを感知する(ForeAider ホームページより引用)